奥村組土木興業株式会社

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プロジェクトストーリー

01新東名高速道路 常磐東エリア
建設プロジェクト

常時約100人、延べ約5万人もの現場が
コミュニケーションで1つにつながった時、
レジェンドは生まれた

チームワークが
生み出した100点評価。
語り継がれるプロジェクト

【新東名高速道路 常磐東エリア 建設プロジェクト】

山岳地帯に切土、捨土・盛土、砂防堰堤・跨道橋下部・カルバートボックスを施工し、豊田東JCT・岡崎東IC間 岡崎市駒立町から大井野町に渡る約2.2kmを新設する工事。チームは、2011年9月から約3年4ヵ月に渡って工期の極めて厳しい難工事を推進。40万時間を超える無事故無災害で完成にこぎつけ、発注機関・NEXCO中日本の成績評定(※)で、100点というおそらく前例のない高評価を獲得した。

多田圭一郎
環境開発本部 京都支店 工事課(当時)
現在:環境開発本部 神戸支店 支店長
多田 圭一郎
1997年入社。工学部土木工学科卒業。スタッフとしてさまざまな工事を経験した後、29歳から約7年間、サブコンの立場で大工事に参加し、単独で協力会社を取り仕切った。37歳から取り組んだ当プロジェクトが、所長としての初仕事。

最初の山場を超え、
一気に高まった現場の自信と一体感、
そして、顧客の信頼。

新東名高速道路 常磐東エリア 建設プロジェクト1
新東名高速道路 常磐東エリア 建設プロジェクト2

立ち入りを拒絶するかのように生い茂る緑の木々、急な斜面。所長としての初の現場となる建設予定地に立った多田は、夏の名残漂う山岳風景を前に、工事の始まりがイメージできず戸惑った。「これじゃあ、入っていくのも難しい・・。」それでも、よぎる不安を胸にしまいこみ、「大丈夫。いけるよ」と、うなずいてみせる。コアメンバー4、5名だけの、心細い門出だった。

やがて、山を分け入りながらの測量が始まった。もう前を向いて進むしかない。作業は精力的に進められ、2ヵ月も経たないうちに伐採に着手できた。まもなく、最初の難題が持ち上がった。周辺の他工事も含めた切土の推進に欠かせない土運搬用のダンプ道約800mを、岩ゴロゴロの急斜面に拓かなければならない。現場はもともと石の産地で想定以上に山が硬い。土砂部からは、家ほどの大きさから50cm大のものまで、最終的に約33,000個もの石が出た。状況から推して、ダンプ道の建設はどんなに急いでも半年がかり。それを、なんとしても4ヵ月でというのが、顧客の要望だった。

多田は腹を決めた。徹底的な安全対策を行って、一部夜間工事も行おう。それからは、顧客にも、チームメンバーにも、作業員にも、「4ヵ月でやり切る」と表明し続けた。いつしかだれもがそれを達成することに夢中になっていた。100人の心が一つになった現場のパワーはすさまじい。本当に予定通りにダンプ道ができ、顧客は、「そうはいっても、とても無理だろうと思っていたのに」と、目を丸くした。現場の自信と一体感、そして、顧客の信頼が、これで一気に高まった。

他工事の遅れで生じた
11ヵ月の遅れを顧客と心を一つに取り組んだ
そして、顧客の信頼。

新東名高速道路 常磐東エリア 建設プロジェクト3

ダンプが通れるようになり、切土工事が進んで、周辺の山がみるみる低くなっていく。自分たちの行う掘削工事が他工事のダンプ運行の安全に影響しないよう、工事の位置が変化するにつれ、ダンプ道を適宜切り替えるなどの苦労はあった。それでも、現場はしっかりと対応し、全てが順調に進んでいた。

そんなとき、次の難問が思わぬところから降りかかり、第二の山場に突入することになった。次の盛土工事の着手が、近接する他工事の工程遅延の影響で11ヵ月も遅れることが判明したのだ。「高速道路の開通は延ばすことができない。なんとか盛土工事を短期化できないだろうか」。通常、大手ゼネコンなどは、ビジネスの慣例上、このような顧客のあまり現実的ではない要望に対しては、多くの対策をとらない場合が多い。しかし、奥村組土木興業は、顧客の困りごとの解決には常に全力を注ぐ。

多田は早速、工期短縮のためのあらゆる案を提示。顧客と共に対策を考え、顧客が期待している以上の対応を実施することを心がけた。具体的には、まず、昼夜間2交代の施工体制を敷いた。危険を伴う山岳地での土工事を夜間に行うというだけでも覚悟がいる。多田はその上、発破の行えない夜間にも特殊な掘削機械を使って工事を進める案を出し、その実行も決まった。もちろん、顧客との交渉でしっかり協力会社の利益も確保。日頃の信頼関係にも支えられ、どの協力会社もみな精一杯踏ん張ってくれた。こうしてまたもや奇跡が起こった。目標としていた約6ヵ月の工期短縮を成し遂げたのだ。

近隣と良好な関係を築くとともに、
メンバー間や現場全体の
意思の疎通を円滑に。

新東名高速道路 常磐東エリア 建設プロジェクト5
新東名高速道路 常磐東エリア 建設プロジェクト4

この2つ目の山場にさしかかった頃には、プロジェクトのコアとなる10数名のメンバーの間にもあうんの呼吸が生まれていた。品質管理に強い者、書類作りに長けた者、現場の最前線でうまく作業をリードできる者など、それぞれに得意技があり、互いに助け合って、スピード感を増す一方の現場を支え続けた。

メンバーの頑張りによって、多田にも高所から工事を見守る余裕が生まれた。夜間工事の騒音を重視した多田は、エリアを広げて近隣1軒1軒に影響を訪ねて回るなどの対策を実施。すみやかに理解が広がり、騒音の程度を確認するための夜間パトロール中に、犬を散歩させている住民の方から「もう窓を締め切る季節だから大丈夫ですよ」と声をかけてもらうなど、うれしい経験も相次いだ。「万一クレームが発生してしまうと全てが後手に回る。そうではなく、先に地域の皆さんに喜んでいただけることをしておけば、仮にご迷惑をかけてしまった場合も、せめてものお詫びにもなる」というのが、多田の考え方だった。

このため、工事とは無関係ながらも、見通しを妨げて事故を多発させていた県道の立木2本の伐採を引き受けたり、通学時間帯に通学路に立ち、児童の安全を見守ったり。また、40人用のテントを張って児童を現場に迎え重機の写生会を開いたり、橋上に約100匹のこいのぼりを泳がせてこどもの日を祝ったり。こうしたささやかながらも心のこもった活動が奏功し、地域の温かいまなざしに見守られ、順調に工事が進んだ。

多田は、現場の結束力をさらに高めることにも心を砕いた。プロジェクトメンバー10数名が集まり、1日の活動内容や問題点などについて報告し、率直に議論し合う夕礼を毎日実施。さらにこの時ばかりは工事を忘れて羽目を外せる懇親会も月1回開催した。また、季節ごとに作業員も全員招待して、花見、バーベキュー大会、紅葉狩りなどを実施。どんなに忙しくても全員参加で楽しむことを恒例化した。

成し遂げた無事故無災害。
獲得した高い評価。
それも奥村組土木興業にとっては、
一つの通過点だ。
それも奥村組土木興業にとっては、一つの通過点だ。

新東名高速道路 常磐東エリア 建設プロジェクト6

これら多様な施策が、明るく風通しよく、同時に、緊張感と集中力を欠かさない絶妙の空気を生み出していく。気がつけば、長期に渡った工事が、驚いたことに無事故無災害のまま、終盤を迎えていた。こんな偶然が最後まで続くはずはない。自力で相手をねじふせればいいピッチャーのノーヒットノーランとは違い、工事現場の所長ができることには限界がある。多田の中で、当初は予想もしなかったうれしいプレッシャーが日々高まっていった。気晴らしのランニングに出ても、祠を見つけると思わず立ち止まり、神に祈らずにはいられない。一方で、自分が神経質になると現場に立つ人たちが萎縮して逆効果だという意識もある。不可抗力的なことは仕方がないとおおらかに構え、悔いのないよう、正せる規律は正しつつ、無事故無災害を1日、また1日と、積み重ねていった。

こうして迎えた竣工検査の日、ついに、検査官から「指摘事項なし。完成品として受け取ります」という言葉を聞いた。この時、多田の胸に思いがけない感情が押し寄せた。「ありがとう。メンバー全員、本当によくやってくれた。これは、皆の努力の結晶だ・・」。長年土木工事に携わり、竣工の際にはいつも、自分が成し遂げた成果を思い、感動を味わってきた。それが、今回は全く違っていた。自分のことは意識になく、あるのはただ、皆への感謝だった。

後日、顧客による成績評定が発表された。なんと100点。この評価制度が始まって以来ともいわれる最高得点だ。
「奥村組土木興業は、NEXCOの工事を請け負うハイレベルな業者のなかでも、群を抜いていいものをつくることに、たゆまぬ努力を続けてきた。私もその社風の中で育ち、今回も、奥村組土木興業として当たり前の対応に徹することができた。だからこその100点だ」

奥村組土木興業という会社が誇らしい。所長としての初仕事を成功裡に終え、多田の喜びは大きかった。その後も、同じ顧客から隣接する工事を新たに受注。さらに多田は、業務のかたわら、ゴミのチップ化による製品づくりまで手がけ始めた。本格的な事業化に向け、提案書も上司に提出ずみだ。そして、多田は現在、本店の工事課長として、複数の現場を統括し、現場のバックアップはもちろんのこと、新たな工事の受注活動や人員調整などに携わっている。現場で培ったコミュニケーション力を活かし、今までよりも視野を広げて業務に奔走している。

「奥村組土木興業では、現状の枠にとらわれることなく、どんどん新しいことにもチャレンジできるということを示したい」
多田の新たな取り組みには、若い世代に向けての、そんな思いもこめられている。

※NEXCO中日本の成績評定とは
NEXCO共通の基準に基づく、請負工事の評価制度。請負工事を発注者の立場から、たとえば「施工体制」「施工管理」「安全対策」「品質」「創意工夫」「地域への貢献等」といった各種項目 別に評価、採点。項目別評定点算出表(竣工評定)と、3回にわたる中間検査の平均をもとに、工事成績評定点を算出する。大半の工事が70~85点の範囲に収まり、90点以上は稀。100点はおそらく過去に例がない。

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